反捕鯨過激団体シー・シェパード(SS)のメンバーに日本人女性がいることがわかった。南極海で調査捕鯨中の「第2昭南丸」にSSメンバー1人が侵入、3億円などを要求する書簡を船長に渡した。その直後に日本人女性メンバーが拡声器を使って、書簡に書かれている内容を読み上げていた。
2010年2月15日午前9時頃、水上バイクで接近して「第2昭南丸」に乗り込んだのはSSメンバーでニュージーランド出身のピート・ベスーン。ピートは、10年1月6日に日本の調査捕鯨船「第2湘南丸」に衝突して大破した「アディ・ギル号」の船長で、「衝突は日本船の責任だ」とし、賠償を口にしていた。
■「アディ・ギル号の衝突の責任は第2昭南丸にある」
水産庁によると、ピートは書簡を捕鯨船の船長に渡すのが目的だった、という。手渡しした直後に「第2昭南丸」接近したSSの「スティーブ・アーウィン号」から、この書簡に書かれている内容を日本語で読み上げる声が、拡声器を通して響いてきた。
「アディ・ギル号の衝突の責任は第2昭南丸にある。3億円を請求する。ニュージーランドに向け航行せよ」
というものだった。
水産庁は、SSのホームページに日本人メンバーがいると書かれていてことを指摘したうえで、
「拡声器で書簡を読み上げたのは日本女性だということは把握しています。ただ、この日本人女性が誰なのか、いつからメンバーになったのかはわかりません」
と明かす。
■日本人メンバーがいるという噂は08年からあった
SSメンバーに日本人がいるのではないか、という話は08年3月頃からあった。SSは以前から反捕鯨や日本の捕鯨船追撃に関する声明を出していたが、この頃から日本語翻訳文も掲載されるようになった。文面がしっかりしているため、SSの活動に日本人が協力しているのではないか、と囁かれていた。拡声器で叫んだ人物がSSの声明を訳した同一人物なのかは不明だが、今回SSメンバーに日本人女性がいることがはっきりした。
しかし、どんな女性で、なぜSSメンバーになったのか。複数のNGOやNPO、環境保護団体などに聞いてみたが、事情を知る人はいなかった。ある国際ボランティア団体の関係者は、
「SSのような過激な団体に協力する日本の保護団体、ボランティア団体は存在するはずがないし、SSに身を投じる人がいるなんて話しも聞いたことがありません」
と首を傾げる。
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